Can you hear me ?
「アルベル、ちゃんと聞いてるのか?」
「聞いてる。こんなに近くにいるんだから聞くつもりが無くても聞こえるだろ」
「あ、そうか、そうだよな、確かに」
「……フェイト。お前、もう少し見た目とあった話し方にしろよ。変だぞ?」
ククッと小さく笑いながら言うアルベル。
「う、うるさいな!僕はこういう話し方に慣れちゃってるんだよ。それに、好きでこんな風になっちゃったわけじゃないんだ!」
まだ笑い続けているアルベルに怒りながら言うフェイト。
さっきからずっとフェイトはアルベルに抱っこされていた。
「大体、どうして抱っこなんだよ?僕、ちゃんと歩けるんだけど」
「歩幅が違いすぎるんだよ。お前に合わせて歩いてたら日が暮れちまうじゃねえか。いい加減それくらい理解しろ、この阿呆が」
「…う……それは…」
フェイトは今、何故か4〜5歳くらいの姿をしている。
――朝起きたら、フェイトの体が縮んでいたのだ。
「阿呆とまで言うことないだろ。僕だってこんな風になりたくてなったわけじゃないって言っただろ。原因もわからないし…」
「本当に何も原因になるようなことで思い当たることはねえのか?」
「無いよ。だって最近何も変わったことなんて無かったし…」
そう言ってフェイトがアルベルを見上げると急にアルベルが笑い出した。
「お前……本っ当に可愛いな」
笑いをこらえようとしてもこらえきれないらしく、小さく笑いながら楽しそうに言うアルベル。
「な…何言ってるんだよ!?恥ずかしいこと普通に言うなよ。こっちが恥ずかしくなるじゃないか」
「俺は思ったことを言っただけだ。褒めてやってるのに嬉しくねえのか?」
「……アルベル、絶対楽しんでるだろ。可愛いなんて言われて嬉しいわけないだろ!!」
「…とりあえず、その姿で困るヤツは誰もいねえからさっさとこのまま行くぞ」
アルベルは顔を真っ赤にしながら怒って叫ぶフェイトを軽く無視して歩き続ける。
その腕には大事そうにフェイトが抱っこされていた。そして、それを見てフェイトに気付かれないように微笑むアルベル。
――あきらかにおかしな二人組みの旅人の噂はだんだん広まっていったとか、いかないとか。
-end…?
2004/12/ 6